よく大株主欄で見かける「日本マスタートラスト信託銀行」ですが、実態としてどのような会社なのかを見ていきます。
業種
まず、日本マスタートラスト信託銀行は信託銀行の中でもカストディアンという業種に分けられることが多いです。
社名を上場企業の大株主欄で見かけることがありますが、それはカストディアンとして機関投資家の株式や海外のの投資家の株式を預かり、決済や配当金、議決権の行使など事務処理などを代行し管理しているからです。
海外の投資家はグローバルカストディアンであるバンクオブアメリカやステートストリートなどに株式を預け、そのグローバルカストディアンが地場のカストディアン(日本に拠点を置く日本マスタートラスト信託銀行など)にさらに株式を預けたりすることもあります。
カストディアンはあくまで株式を預かっているだけなので、議決権の行使などを行う実質的な株主はカストディアンに預けている機関投資家です。
カストディアンに関するもう少し詳しい記事は下記で
基本情報
名称
商号:日本マスタートラスト信託銀行株式会社
英語名:The Master Trust Bank of Japan ,Ltd.
設立について
営業開始日:平成12年5月9日
資本金:100億
住所
〒105-8579 東京都港区浜松町2丁目11番3号(MTBJビル)
従業員数
762人(2018年3月期)
株主
株主 | 株数 | 持ち株比率 |
三菱 UFJ 信託銀行株式会社 | 55,800株 | 46.5% |
日本生命保険相互会社 | 40,200株 | 33.5% |
明治安田生命保険相互会社 | 12,000株 | 10.0% |
農中信託銀行株式会社 | 12,000株 | 10.0% |
組織図
結局日本マスタートラストはどのような会社か
ひとことで言うと、三菱UFJ信託の影響が強い日本のカストディアンです。
設立の時から現在の三菱UFJ信託銀行になる会社と日本生命の出資を受けていたことがあり、現在の株主構成比率にもそれが現れています。
特に三菱UFJ信託とは二人三脚の関係で海外資産の受託や投資信託、ETFなどの資産を預かっています。
また、カストディアンとしての単純な資産の引き受けだけにとどまらず、外貨建て投資信託の対応やデリバティブ対応などの時代に合わせた新しいシステムを作ったり、得意分野であるETF管理サービスを伸ばしたりと、着々と成長への種まきをしている印象です。
日本マスタートラスト信託銀行のこれから
日本の地場カストディアンは日本マスタートラストとJTCホールディングスの2社に大きくは分けられます。業界の先行きとしてカストディアン業務と機関投資家のバックオフィスの肩代わりをしていく方向で業務を拡大していくことに両社に違いはありません。
そして日本マスタートラストとJTCホールディングスを比べたときに、それぞれの不得意があるため簡単にどちらかが優れているかを断言はできません。しかしながら、規模や金融ミドルバックオフィスとしての機能の充実は今の所JTCホールディングスが先行しているように思えます。
良くも悪くも三菱UFJ信託銀行の影響を大きく受ける会社だからこそ、二人三脚で受託業務を深化しつつ、細やかなサービスを提供していく存在になりそうです。
競合のJTCホールディングスについては下の記事で
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