トラストレンディングに業務改善命令

ソーシャルレンディング
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トラストレンディングが金融庁から行政処分を受けました。処分内容としては、以下の業務停止命令と業務改善命令が出されました。

問題のファンド

今回金融庁から問題を指摘されたファンドは2つあります。

債権担保付ローンファンド

トラストレンディングは同じような名前のファンドがあるので紛らわしいですが、今回問題のになったファンドはその中でも債権担保付ローンファンドの139号~146号、155号~158号です。
原発事故被災地にあるダムやため池の底泥から検出された高濃度の放射性物質を取り除くためのプロジェクトの統括、管理をする会社へ融資を行うプロジェクトになります。

今回問題になったのこれを行う際のスキームの説明です。


この図の場合は復興庁が主導して行っているように見えますが、実際には復興庁を含めて官公庁が行っているプロジェクトは存在していないと今回指摘されました。官公庁がこのプロジェクトに関わっていないとしたら、嘘の条件で資金を集めていたことになるのでかなり悪質なケースになる可能性があります。
東京電力が行うプロジェクトで官公庁が少し首を突っ込んでいたんじゃないかなどの推測もネット上で見られますが、実際の事実関係はトラストレンディングの公式の発表を待ちたいです。

動産担保付ローンファンド

これもまた個性がない名前ですが、正確には動産担保付ローンファンドの163号、165号~168号、170号~174号のファンドが問題になっています。
このファンドはIoT向けの通信サービスの実証実験にかかる資金を融資する案件でした。そしてポイントは実証実験後に「2020年東京オリンピックのJOCゴールドパートナーとなっている大手企業」との提携を予定していると案件概要に書いています。
金融庁側は現状ではそのような大企業との提携の契約の予定はないにもかかわらず業務提携などによって得られた資金を返済原資に当てるように書いてあるので、あまりよろしくないと指摘しています。

この2件に共通しているのはファンドの勧誘において虚偽の内容を提示していたことでしょう。
どこまで悪質かはまだわかりませんが、トラストレンディングの運営会社であるエーアイトラスト株式会社の役員の多くが元官僚であることを考えると、全くの嘘をついているとは考えにくいと予想されます。
どちらかというと匿名組合契約で開示できる内容ギリギリの情報を開示したら誤解を招くような表現になったのだと思います。

ただ、僕自身がトラストレンディングの他のファンドに投資しているので希望的観測も含まれています。
また1月の始めあたりにトラストレンディング内の調査結果を待って記事をアップデートしたいと思います。

行政処分内容

業務停止命令

2018年12月14日から2019年1月13日までファンドの償還など以外の金融取引業の停止

業務改善命令

法令違反が発生した原因を究明し、業務の体制の再構築と投資家保護を強化、そしてその改善策などについてを顧客に説明すること。
また進捗状況を2019年1月11日に金融庁に説明すること

参考:https://www.trust-lending.net/topics/2018/20181214.pdf

ソーシャルレンディングは危ないのか

幸いなことに今回指摘されたファンドについては僕の投資対象ではありませんでしたが、主力投資先でこのような処分が起こったのはちょっとがっかりしました。
実際、今年は立て続けにソーシャルレンディングの不祥事が起こったこともあり、ツイッターなどで見ていると追加投資はもうせず撤退する等の声もちらほら見かけます。

ただ僕自身は投資ペースを落としても、ソーシャルレンディングでの運用は続けていきたいです。
ソーシャルレンディングの高利回りの背景にはそれなりのリスクがあることは前提としているので、ある程度のデフォルトや新興企業にありがちなコンプライアンス体制の不足は一定の確率で起こってしまうだろうと思っていました。
みんなのクレジットのような悪質なものは想定外ですが、現状わかる範囲内ではトラストレンディングの問題はこれからの事業が立ち行かなくなるようなクリティカルなものではなく、ありがちなコンプライアンス体制の足りなさからきているものでしょう。

どのようなファンドや運営業者はどのようなリスクがあるのかをある程度把握したうえで、分散させる運用先のひとつとしてソーシャルレンディングを活用していくといいでしょう、

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