謎の大株主、カストディアン

カストディアン 金融
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謎の株主

上場企業について調べている時にチラッと見る大株主一覧を見ていると、聞きなじみのない会社がないにもかかわらず上場企業のほとどで上位に入り込んでくる会社があります。

実際にどのような形で大株主に食い込んでいるのか、例としてトヨタの株主を見てみましょう。

氏名又は名称 所有株式数 所有株式数の割合(%)
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱ 381,267 12.89
㈱豊田自動織機 232,037 7.85
日本マスタートラスト信託銀行㈱ 172,408 5.83
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 119,497 4.04
日本生命保険(相) 111,394 3.77
㈱デンソー 89,784 3.04
ジェーピー モルガン チェース バンク 77,287 2.61
三井住友海上火災保険㈱ 58,811 1.99
資産管理サービス信託銀行㈱ 58,234 1.97
東京海上日動火災保険㈱ 51,045 1.73

トヨタの関連会社や保険会社、大手外資系金融機関にまざって見慣れない名前があります。というよりも一番の大株主が謎の会社です。

  • 「日本トラスティ・サービス信託銀行㈱」
  • 「日本マスタートラスト信託銀行㈱」
  • 「資産管理サービス信託銀行㈱」

この聞きなれない3社はカストディアンと呼ばれる会社であり、その性質から多くの会社の株主欄に名前を連ねています。

カストディアンとは

カストディアンは投資家に変わって株や債券をはじめとした有価証券を管理してくれる機関です。
特に海外の投資家が現地の株などを買う時に、立地的な事情や細々とした管理の手続きをするのは負担なので、カストディアンに管理してもらったりしています。

また、カストディアンには2種類に分けることができます。全世界で幅広く業務を行い複数の国の有価証券の管理を行う「グローバル・カストディアン」と現地で自国の有価証券を管理する「サブ・カストディアン」があります。

グローバルカストディアン

グローバルカストディアンは世界を股にかけて、複数の国で有価証券の管理を行っています。ただ、実際の管理においては現地のサブカストディアンと提携することもよくあります。

グローバルカストディ業務を行う会社は数多くありますが、有名どころをあげるとステート・ストリート、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、JPモルガン・チェース、シティグループなどです。また、日本では三井住友信託銀行が参入しています。

最初に例に出したトヨタの株主に「ジェーピー モルガン チェース バンク」が載っていたのは、JPモルガン・チェースが大量に株を所有しているのではなく、顧客の投資家から管理を委託されている株を管理しているためです。

サブカストディアン

グーロバルカストディアンが複数の国で業務を行っているのに対して、サブカストディアンは限られた地域で現地の有価証券の管理を請け負っています。

日本の場合は下にあげた3社が主なプレイヤーです。

  • 「日本トラスティ・サービス信託銀行㈱」
  • 「日本マスタートラスト信託銀行㈱」
  • 「資産管理サービス信託銀行㈱」

この3社のうち日本マスタートラスト信託銀行と資産管理サービス信託銀行が統合を目指し、2018年10月に持ち株会社のJTCホールディングス株式会社が作られました。

国内のカストディアンは投信ファンド、年金基金、保険会社などが主な顧客です。有価証券に関わる郵便物の処理などの単純な事務手続きだけではなく、決算の処理や運用レポート、投資信託の基準価の算出などもおこなっています。

単純なカストディ業務だけではなく、資産運用会社のバックオフィス業務を総合的に請け負う方向に進んでいっています。

カストディアンは株主なのか

ここまでカストディアンがどのようなものなのかを見てみましたが、結局彼らは株主と言えるのでしょうか。

ここまで大々的に株主名簿に載っていますが、あくまで有価証券の管理の諸業務を信頼され任されているだけです。売買をしたり、株主総会での議案の賛成反対を決めるのは実際の投資家である機関投資家です。

実質的な株主はカストディアンではなくあくまで投資家です。

経営に厳しいアクティブファンドのなかにはカストディアンを隠れ蓑に株式を集める手法をとる人たちもいます。逆にそれに対抗するため、最近では上場している会社の実質的な株主が誰なのかを調べるサービスまで存在しています。

ちなみにその実質的な株主を調べるサービスのひとつを行うIR Japanという会社は上場まで果たしています。

まとめ

本当の株主はカストディアンに委託している投資家

日本トラスティ・サービス信託銀行、日本マスタートラスト信託銀行、資産管理サービス信託銀行などのカストディアンは投資家に信頼されて資産管理を請け負っています。

実際の株式の売買や株主総会での投票は株主の意見が反映されます。

ファンドのなかにカストディアンを使ってこっそり株を買い集めることもあります。

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