信用取引と貸株の違いをわかりやすく解説|よくある誤解5つも一気に解消

貸株
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「貸株」という言葉、実は2種類あります

この記事を読めば4つの疑問がすべて解決します。

  • 「貸株サービス」と「信用取引の貸株料」はまったく別物なのに名前が同じ
  • 貸株サービスに信用取引口座は不要(よくある誤解)
  • 貸株中でもいつでも株を売れる(よくある誤解)
  • 信用取引の「貸株料」「逆日歩」とは何か、具体例で解説

「信用取引をやっていないのに、証券会社の画面で”貸株料”という言葉を見てドキっとした」「貸株サービスと信用取引って何が違うの?」という疑問、よく聞きます。

原因はシンプルで、「貸株」という言葉が2種類の意味で使われているからです。ひとつは自分の保有株を貸して金利をもらう「貸株サービス」。もうひとつは信用取引で空売りをするときに株を借りるコスト「信用取引の貸株料」。同じ言葉なのに立場もお金の流れも真逆です。

この記事では、その違いを整理した上で、よくある誤解も解消します。

「貸株」には2種類の意味がある

まず最重要ポイントを図で整理します。

① 貸株サービス

長期保有者向け・金利をもらう

保有株を証券会社に貸す

証券会社から金利をもらう

→ 収益になる

② 信用取引の貸株料

空売りをする人向け・コストを払う

証券会社から株を借りて空売りする

証券会社に貸株料を払う

→コストが発生

「貸す」という行為は同じでも、①はあなたが貸す側(受け取り)、②は証券会社から借りる側(支払い)です。方向が逆なのでまったく別の話です。これだけ押さえれば、以降の内容がすっと理解できます。

貸株サービスの仕組み(金利をもらう側)

貸株サービスは、自分が持っている現物株を証券会社に貸し出すことで、貸出期間中に金利を受け取るサービスです。楽天証券・SBI証券・松井証券などの主要なネット証券が提供しています。

貸株サービスの基本まとめ

誰でも使える? 現物株を保有していれば誰でもOK。信用取引の知識・口座は不要
手続きは? 証券会社の画面で申込むだけ。あとは全自動
金利の目安 年率0.1〜数%(銘柄によって異なる)
計算方法 株価 × 株数 × 年率 ÷ 365 (土日祝も含む毎日計算)
入金タイミング 翌月(証券会社により日程が異なる)に口座へ入金
貸出中に株は売れる? いつでも売れる。売却注文を入れれば自動で返却・売却される
注意点 貸出中は議決権なし。優待・配当は設定コースによって自動返却

「設定さえすれば何もしなくていい」がこのサービスの最大の特徴です。株を持っているだけでは生まれなかった金利収入が、ほったらかしのままで発生します。詳しくは貸株の仕組み・メリットデメリット記事を参考にしてください。

信用取引の仕組み(保証金で3倍取引する)

信用取引は、証券会社に保証金(委託保証金)を預けることで、その最大約3.3倍の金額まで株の売買ができる上級者向けの取引です。現物取引と違う点は「持っていないお金や株でも取引できる」ことです。

信用取引の2種類

【信用買い(買建)】お金を借りて株を買う

証券会社から資金を借りて株を買う。上昇相場で少ない元手から大きな利益を狙える。
コスト:信用金利(年率2〜3%程度)を払う

例:30万円の保証金で最大約100万円分の株を買える(3.3倍)

【信用売り(売建・空売り)】株を借りて売る

証券会社から株を借りて売り、下落後に安く買い戻して差益を得る。下落相場でも利益を狙える。
コスト:貸株料(年率1%程度)+ 状況によって逆日歩(予測不能)

例:1,000円で空売り→800円で買い戻し→差益200円/株(手数料・貸株料を除く)

⚠️ 信用取引のリスク:レバレッジにより損失も最大3.3倍に拡大します。保証金維持率が一定を下回ると追加保証金(追証)が発生し、強制決済されるリスクがあります。知識と常時の管理が必要な上級者向けの取引です。

信用取引の「貸株料」と「逆日歩」とは

信用売り(空売り)をするとき、投資家は証券会社から株を借ります。この「株を借りる対価」として支払うのが信用取引の貸株料です。

信用取引の貸株料 計算式

売建株価 × 株数 × 貸株料率(年率)÷ 365 × 保有日数(暦日)

計算例:100万円分を空売り・貸株料率1.15%・30日保有した場合
1,000,000 × 0.0115 ÷ 365 × 30 = 約947円

逆日歩(ぎゃくひぶ)とは

信用売り(空売り)には貸株料に加え、逆日歩という追加コストが発生する場合があります。

何が起きるとき? 制度信用の売り残高が買い残高を上回り、市場で株が不足したとき
金額は? 入札で決まるため事前予測が不可能。1株数円〜数十円/日になることも
誰が払う? 制度信用で空売りしている投資家全員(等しく負担)
信用買いの人は? 逆日歩を受け取れる(空売り側の負担が買い側に渡る)
回避するには? 一般信用取引を使う(逆日歩なし。ただし貸株料が制度信用より割高)
💡 優待クロスをやっている人へ:制度信用で空売りすると、人気銘柄の権利確定直前に逆日歩が急騰して優待価値を大きく上回るコストになることがあります。一般信用を使う、または事前に信用残高を確認してから建てるようにしましょう。詳しくは後述の「優待クロス取引の落とし穴」で解説します。

よくある誤解Q&A 5選

「信用取引と貸株」に関して、実際によく聞く5つの誤解を一気に解消します。

❓ Q1. 貸株サービスを使うには信用取引口座が必要?

✅ 不要です。現物取引口座だけで使えます。

楽天証券・SBI証券・松井証券いずれも、信用取引口座を開設していなくても貸株サービスは利用できます。「信用」という言葉のイメージから「信用取引と関係あるのでは」と誤解されやすいですが、貸株サービスは現物株保有者向けの完全に独立したサービスです。

❓ Q2. 貸株中は株を売れない?

✅ いつでも売れます。操作も普通の売却と同じです。

貸株中の株でも、売却注文を入れれば自動的に返却処理が走り、その後に売却が実行されます。売却チャンスを逃したり、特別な手続きが必要になったりすることはありません。ただし約定日から2営業日ほどのタイムラグが生じる場合があります。

❓ Q3. 貸株中は配当も優待ももらえない?

⚠️ 設定コースによって変わります。要確認。

「優待優先コース」または「配当優先コース」に設定すれば、権利確定日前に自動返却して優待・配当の両方を取得できます。ただしデフォルトの「金利優先コース」のままだと権利を取り損ねる可能性があります。設定コースの確認は必須です。

配当金は「配当相当額」として支払われますが、税務上の扱いが通常の配当金と異なり、配当控除の対象にならない場合があります。確定申告が必要になるケースもあります。

❓ Q4. 貸株サービスをやっていると信用取引の「貸株料」も取られる?

✅ まったく別物です。貸株サービスで貸株料を取られることはありません。

信用取引の貸株料は「空売りをしている人が支払うコスト」です。貸株サービスの利用者は逆に金利を受け取る側なので、貸株料を支払う立場にありません。全然別の話です。

❓ Q5. 信用取引をやっていないのに「貸株料」という表示が出て困惑した

✅ 貸株サービスの画面で表示されている「貸株金利」または「配当相当額」のことだと思われます。

貸株サービスを使っている場合、証券会社によっては画面上に「貸株料」という言葉が出てくることがあります。これは信用取引のコストではなく、あなたが受け取る貸株金利の入金明細です。プラスの収益として計上されているはずなので確認してみてください。

1枚でわかる比較表

項目 貸株サービス 信用取引(空売り)
お金の方向 金利をもらう ✅ 貸株料を払う ⚠️
必要なもの 現物株のみ 委託保証金+信用取引口座
損失リスク ほぼなし 大きい(元本超えも)
難易度 低い(設定するだけ) 高い(知識・管理が必要)
信用取引口座 不要 必要
向いている人 長期保有・ほったらかし派 積極売買・短期売買派
追加の予測不能コスト なし 逆日歩(制度信用のみ)

実は2つはつながっている

別物として整理しましたが、実は無関係ではありません。

信用取引で空売りをするとき、証券会社が投資家に貸し出す株はどこから来るのでしょうか。その一部が、貸株サービスに出している個人投資家の株です。あなたが貸株サービスに出している株が、誰かの空売りに使われている可能性があります。

株の流れ

あなた(貸株サービス利用者)
↓ 株を貸す → 金利をもらう
証券会社
↓ 株を貸す → 貸株料をもらう
空売り投資家(信用取引の売建)

この構造から、貸株金利が高い銘柄=市場で空売り需要が高い銘柄という関係が生まれます。保有中の銘柄の貸株金利が突然上がったときは「空売りしたい人が増えた=何らかの悪材料が意識されているかもしれない」というシグナルとして読める場合があります。貸株金利を銘柄の需給バロメーターとして使うこともできます。

優待クロス取引と貸株料の落とし穴

株主優待クロス取引(現物買い+信用売りを同時に建てて優待だけをローリスクで取る手法)をやっている方は、貸株料と逆日歩の組み合わせに注意が必要です。

クロス取引のコスト内訳

現物買い側 売買手数料のみ(貸株料はなし)
一般信用売り 売買手数料+貸株料(日数分)。逆日歩なし ← 安全
制度信用売り 売買手数料+貸株料+逆日歩(青天井・予測不能)

また、GW直前などの連休前後に空売りを建てると、連休中の暦日数分の貸株料がまとめてかかります。「1日の取引なのに5日分のコスト」という事態になりかねません。コストは必ず事前に計算してから建てましょう。

📌 GW中の貸株料問題についてはゴールデンウィーク中の貸株はどうなる?2026年版で詳しく解説しています。

まとめ

📌 この記事のポイントまとめ

「貸株」は2種類ある ①貸株サービス(金利もらう)と②信用取引の貸株料(コスト払う)は逆方向
信用口座は不要 貸株サービスは現物株口座だけで使える。信用取引口座は関係ない
貸株中でも売れる いつでも売却可。売却注文を入れると自動で返却→売却が進む
優待・配当は設定次第 「優待優先」または「配当優先」コースにすれば自動返却して権利取得できる
逆日歩は空売りのリスク 制度信用の空売りで発生する予測不能な追加コスト。優待クロスで特に要注意
貸株金利は需給バロメーター 金利が高い銘柄=空売り需要が高い銘柄。株価動向のシグナルになることも

「貸株サービスをやっているだけで信用取引の知識は不要」という方にとって、この記事で混乱の元が解消されれば幸いです。貸株サービスは設定してしまえばほったらかしで金利が入ってくる、長期保有者にとってシンプルに得なサービスです。


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※本記事の情報は2026年3月時点のものです。金利・手数料・サービス内容は変更される場合があります。信用取引は元本を超える損失が生じるおそれがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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