「貸株」という言葉、実は2種類あります
この記事を読めば4つの疑問がすべて解決します。
- 「貸株サービス」と「信用取引の貸株料」はまったく別物なのに名前が同じ
- 貸株サービスに信用取引口座は不要(よくある誤解)
- 貸株中でもいつでも株を売れる(よくある誤解)
- 信用取引の「貸株料」「逆日歩」とは何か、具体例で解説
「信用取引をやっていないのに、証券会社の画面で”貸株料”という言葉を見てドキっとした」「貸株サービスと信用取引って何が違うの?」という疑問、よく聞きます。
原因はシンプルで、「貸株」という言葉が2種類の意味で使われているからです。ひとつは自分の保有株を貸して金利をもらう「貸株サービス」。もうひとつは信用取引で空売りをするときに株を借りるコスト「信用取引の貸株料」。同じ言葉なのに立場もお金の流れも真逆です。
この記事では、その違いを整理した上で、よくある誤解も解消します。
📋 目次
「貸株」には2種類の意味がある
まず最重要ポイントを図で整理します。
「貸す」という行為は同じでも、①はあなたが貸す側(受け取り)、②は証券会社から借りる側(支払い)です。方向が逆なのでまったく別の話です。これだけ押さえれば、以降の内容がすっと理解できます。
貸株サービスの仕組み(金利をもらう側)
貸株サービスは、自分が持っている現物株を証券会社に貸し出すことで、貸出期間中に金利を受け取るサービスです。楽天証券・SBI証券・松井証券などの主要なネット証券が提供しています。
貸株サービスの基本まとめ
| 誰でも使える? | 現物株を保有していれば誰でもOK。信用取引の知識・口座は不要 |
| 手続きは? | 証券会社の画面で申込むだけ。あとは全自動 |
| 金利の目安 | 年率0.1〜数%(銘柄によって異なる) |
| 計算方法 | 株価 × 株数 × 年率 ÷ 365 (土日祝も含む毎日計算) |
| 入金タイミング | 翌月(証券会社により日程が異なる)に口座へ入金 |
| 貸出中に株は売れる? | いつでも売れる。売却注文を入れれば自動で返却・売却される |
| 注意点 | 貸出中は議決権なし。優待・配当は設定コースによって自動返却 |
「設定さえすれば何もしなくていい」がこのサービスの最大の特徴です。株を持っているだけでは生まれなかった金利収入が、ほったらかしのままで発生します。詳しくは貸株の仕組み・メリットデメリット記事を参考にしてください。
信用取引の仕組み(保証金で3倍取引する)
信用取引は、証券会社に保証金(委託保証金)を預けることで、その最大約3.3倍の金額まで株の売買ができる上級者向けの取引です。現物取引と違う点は「持っていないお金や株でも取引できる」ことです。
信用取引の2種類
【信用買い(買建)】お金を借りて株を買う
証券会社から資金を借りて株を買う。上昇相場で少ない元手から大きな利益を狙える。
コスト:信用金利(年率2〜3%程度)を払う
例:30万円の保証金で最大約100万円分の株を買える(3.3倍)
【信用売り(売建・空売り)】株を借りて売る
証券会社から株を借りて売り、下落後に安く買い戻して差益を得る。下落相場でも利益を狙える。
コスト:貸株料(年率1%程度)+ 状況によって逆日歩(予測不能)
例:1,000円で空売り→800円で買い戻し→差益200円/株(手数料・貸株料を除く)
信用取引の「貸株料」と「逆日歩」とは
信用売り(空売り)をするとき、投資家は証券会社から株を借ります。この「株を借りる対価」として支払うのが信用取引の貸株料です。
信用取引の貸株料 計算式
売建株価 × 株数 × 貸株料率(年率)÷ 365 × 保有日数(暦日)
1,000,000 × 0.0115 ÷ 365 × 30 = 約947円
逆日歩(ぎゃくひぶ)とは
信用売り(空売り)には貸株料に加え、逆日歩という追加コストが発生する場合があります。
| 何が起きるとき? | 制度信用の売り残高が買い残高を上回り、市場で株が不足したとき |
| 金額は? | 入札で決まるため事前予測が不可能。1株数円〜数十円/日になることも |
| 誰が払う? | 制度信用で空売りしている投資家全員(等しく負担) |
| 信用買いの人は? | 逆日歩を受け取れる(空売り側の負担が買い側に渡る) |
| 回避するには? | 一般信用取引を使う(逆日歩なし。ただし貸株料が制度信用より割高) |
よくある誤解Q&A 5選
「信用取引と貸株」に関して、実際によく聞く5つの誤解を一気に解消します。
1枚でわかる比較表
| 項目 | 貸株サービス | 信用取引(空売り) |
|---|---|---|
| お金の方向 | 金利をもらう ✅ | 貸株料を払う ⚠️ |
| 必要なもの | 現物株のみ | 委託保証金+信用取引口座 |
| 損失リスク | ほぼなし | 大きい(元本超えも) |
| 難易度 | 低い(設定するだけ) | 高い(知識・管理が必要) |
| 信用取引口座 | 不要 | 必要 |
| 向いている人 | 長期保有・ほったらかし派 | 積極売買・短期売買派 |
| 追加の予測不能コスト | なし | 逆日歩(制度信用のみ) |
実は2つはつながっている
別物として整理しましたが、実は無関係ではありません。
信用取引で空売りをするとき、証券会社が投資家に貸し出す株はどこから来るのでしょうか。その一部が、貸株サービスに出している個人投資家の株です。あなたが貸株サービスに出している株が、誰かの空売りに使われている可能性があります。
株の流れ
あなた(貸株サービス利用者)
↓ 株を貸す → 金利をもらう
証券会社
↓ 株を貸す → 貸株料をもらう
空売り投資家(信用取引の売建)
この構造から、貸株金利が高い銘柄=市場で空売り需要が高い銘柄という関係が生まれます。保有中の銘柄の貸株金利が突然上がったときは「空売りしたい人が増えた=何らかの悪材料が意識されているかもしれない」というシグナルとして読める場合があります。貸株金利を銘柄の需給バロメーターとして使うこともできます。
優待クロス取引と貸株料の落とし穴
株主優待クロス取引(現物買い+信用売りを同時に建てて優待だけをローリスクで取る手法)をやっている方は、貸株料と逆日歩の組み合わせに注意が必要です。
クロス取引のコスト内訳
| 現物買い側 | 売買手数料のみ(貸株料はなし) |
| 一般信用売り | 売買手数料+貸株料(日数分)。逆日歩なし ← 安全 |
| 制度信用売り | 売買手数料+貸株料+逆日歩(青天井・予測不能) |
また、GW直前などの連休前後に空売りを建てると、連休中の暦日数分の貸株料がまとめてかかります。「1日の取引なのに5日分のコスト」という事態になりかねません。コストは必ず事前に計算してから建てましょう。
まとめ
📌 この記事のポイントまとめ
| 「貸株」は2種類ある | ①貸株サービス(金利もらう)と②信用取引の貸株料(コスト払う)は逆方向 |
| 信用口座は不要 | 貸株サービスは現物株口座だけで使える。信用取引口座は関係ない |
| 貸株中でも売れる | いつでも売却可。売却注文を入れると自動で返却→売却が進む |
| 優待・配当は設定次第 | 「優待優先」または「配当優先」コースにすれば自動返却して権利取得できる |
| 逆日歩は空売りのリスク | 制度信用の空売りで発生する予測不能な追加コスト。優待クロスで特に要注意 |
| 貸株金利は需給バロメーター | 金利が高い銘柄=空売り需要が高い銘柄。株価動向のシグナルになることも |
「貸株サービスをやっているだけで信用取引の知識は不要」という方にとって、この記事で混乱の元が解消されれば幸いです。貸株サービスは設定してしまえばほったらかしで金利が入ってくる、長期保有者にとってシンプルに得なサービスです。
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※本記事の情報は2026年3月時点のものです。金利・手数料・サービス内容は変更される場合があります。信用取引は元本を超える損失が生じるおそれがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。


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