貸株の確定申告・税金の計算方法

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「貸株金利って確定申告が必要なの?」「20万円以下なら申告しなくていいんじゃないの?」――貸株サービスを始めると、必ずぶつかるのが税金の問題です。

結論から言うと、貸株で得た金利は「雑所得」に分類され、原則として申告が必要です。しかも「20万円以下だから大丈夫」と思っていると、住民税の申告漏れという落とし穴にはまる人が後を絶ちません。

この記事では、貸株の税金の仕組みから確定申告の手順・計算方法まで、サラリーマン投資家でもわかるように具体例を交えて解説します。

1. 貸株金利は「雑所得」――配当所得とは別物

株式投資の税金というと「特定口座で源泉徴収されるから申告不要」とイメージする人が多いですが、貸株金利はこの仕組みの対象外です。

所得税法上、貸株で受け取る収入には2種類あります。

収入の種類 所得区分 課税方式 源泉徴収
貸株金利
(株を貸した対価)
雑所得 総合課税 なし
配当金相当額
(貸株中の配当代替)
雑所得 総合課税 なし
通常の配当金(参考) 配当所得 申告分離 or 総合 あり
株売却益(参考) 譲渡所得 申告分離 あり(特定口座)

重要なポイントは3つです。

①配当控除が使えない:通常の配当金であれば「配当控除」によって税負担を軽くできますが、貸株中に権利日をまたいで受け取る「配当金相当額」は雑所得のため配当控除の対象外です。

②株の損失と損益通算できない:株売却で損が出ても、貸株金利とは通算できません。それぞれ別々の所得として扱われます。

③源泉徴収されないため自分で申告が必要:特定口座の株売却益と違い、貸株金利は受け取り時に税金が引かれません。自分で収入を把握して申告する必要があります。

2. 確定申告が必要なケース・不要なケース

確定申告が必要かどうかは、「給与所得者かどうか」と「貸株金利を含む給与以外の所得合計額」によって変わります。

会社員・給与所得者の場合

給与以外の所得合計 所得税の確定申告 住民税の申告
20万円超 必要 確定申告で兼ねる
20万円以下 不要(原則) 別途必要
⚠️ 「給与以外の所得」の計算に注意:FX・副業・不動産収入など他の雑所得も合算した合計額で判断します。貸株金利だけが小さくても、他の収入と合わせると20万円を超えるケースがあります。

給与収入が2,000万円を超える人

給与収入が年2,000万円を超える場合は、貸株金利の金額にかかわらず確定申告が必要です。

専業主婦・無職など給与所得がない人

年間の所得合計が基礎控除(48万円)以下であれば、所得税の申告は不要です。ただし住民税は別途確認が必要です。

3. 20万円以下でも住民税の申告は必要

貸株に関して最も多い落とし穴がこれです。所得税の「20万円ルール」は住民税には適用されません。

所得税(国税)と住民税(地方税)は別々の法律で管理されており、申告要件も異なります。貸株金利が1円でも発生した場合、原則として市区町村への住民税の申告が必要です。

🚨 住民税申告をしないとどうなる?
本来납めるべき住民税が未払いとなり、延滞金が発生する可能性があります。住民税は所得税と比べて税額が小さいことが多いですが、申告義務があることは変わりません。

住民税の申告が不要になる唯一の方法

確定申告(所得税の申告)を行えば、その情報が自動的に市区町村に送られます。そのため、確定申告をすれば住民税の別途申告は不要です。手間を省くには、所得税の申告義務がない場合でも確定申告をしてしまうのがもっともシンプルです。

💡 実務上のポイント:貸株金利が年間数千円〜数万円程度であれば、e-Taxでの確定申告なら5〜10分で完了します。住民税の窓口申告(紙、役所に持参)より確実で手間が少ないため、金額に関係なく確定申告してしまうのが現実的です。

4. 税額の計算方法と具体例

貸株金利にかかる税額は、総合課税として他の所得と合算して計算します。所得が増えるほど税率が上がる「累進課税」の対象です。

所得税の速算表(2025年現在)

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 97,500円
330万円超〜695万円以下 20% 427,500円
695万円超〜900万円以下 23% 636,000円
900万円超〜1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超〜4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※上記に加えて住民税率10%、復興特別所得税(所得税額×2.1%)が課されます。

具体的な計算例

【ケース例】

給与収入:500万円(課税所得として約350万円と仮定)

貸株金利:年間5万円

※他の所得なし、各種控除は考慮しない簡易計算

課税所得合計:350万円 + 5万円 = 355万円 → 税率20%のゾーン

貸株金利5万円に対する所得税:5万円 × 20% = 10,000円

復興特別所得税:10,000円 × 2.1% ≒ 210円

住民税(10%):5万円 × 10% = 5,000円

▶ 合計税額の目安:約15,210円

※上記は概算です。実際の税額は各種控除・他の所得の有無などによって変わります。正確な計算は確定申告書の作成ツールまたは税理士にご確認ください。

貸株金利の1日あたりの計算式

証券会社が貸株金利を計算する際の基本式は以下の通りです。

1日あたりの貸株金利 = 株式の時価評価額 × 貸株金利率 ÷ 365

例:時価100万円の株を年率1%の金利で貸し出している場合、1日あたり約27円(100万円 × 1% ÷ 365)。1ヶ月(30日)で約820円の収入になります。

5. 確定申告の手順(e-Tax対応)

貸株金利の申告はe-Taxを使えばシンプルに完了します。慣れれば10分もかかりません。

STEP 1:収入金額を確認する
各証券会社のマイページにある「貸株通帳」「取引履歴」「貸株レポート」などから、年間の貸株金利・配当金相当額の合計額を確認します。SBI証券なら「商品・サービス → 貸株サービス → 貸株通帳」、松井証券なら「取引履歴」画面で確認できます。

STEP 2:取引残高報告書を入手する
確定申告の証明書類として、各証券会社が発行する「取引残高報告書」を使います。電子書面で交付されている場合はマイページからダウンロードできます。

STEP 3:国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作成する
「雑所得 → その他」の欄に、収入金額(年間の貸株金利合計)と必要経費を入力します。貸株に直接要した費用がなければ、必要経費は0円で問題ありません。

STEP 4:e-Taxで送信する
マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、窓口に行かずオンラインで申告が完結します。申告期間は毎年2月16日〜3月15日です。

6. 申告に必要な書類の集め方

書類 入手方法 用途
取引残高報告書 各証券会社のマイページから
ダウンロード
申告の法定証明書類
貸株通帳 / 貸株レポート 各証券会社のマイページ内 年間収入金額の確認
源泉徴収票 勤務先から受取 給与所得の金額確認
マイナンバーカード お手元に e-Tax送信・本人確認
💡 複数の証券会社で貸株している場合:各社の収入金額を合算して申告します。証券会社ごとに取引残高報告書を入手し、合計額を申告書に記入してください。

7. やってはいけない3つの誤解

誤解①「特定口座(源泉徴収あり)だから申告不要」
特定口座の源泉徴収は株の売買益・配当金が対象です。貸株金利は特定口座の管理対象外のため、源泉徴収されません。別途申告が必要です。

誤解②「株の損失と相殺できる」
貸株金利(雑所得)と株売却の損失(譲渡所得)は、損益通算できません。株で大きく損を出した年でも、貸株金利は別途課税対象です。

誤解③「配当金相当額は配当金と同じ扱い」
貸し出し中に権利日をまたいで受け取る「配当金相当額」は、通常の配当金ではなく雑所得です。配当控除も、申告不要制度(申告分離課税)も使えません。配当収入にこだわる方は、権利確定日前に貸株を自動返却する設定を使うと、本来の配当金として受け取ることができます。

8. まとめ

📌 この記事のポイント

  • 貸株金利・配当金相当額は雑所得として総合課税される
  • 給与所得者は、給与以外の所得合計が20万円超で確定申告が必要
  • 20万円以下でも住民税の申告は必要(手間を省くなら確定申告で兼ねる)
  • 税率は他の所得と合算した累進課税。課税所得350万円台なら実質税率は約30%(所得税20%+住民税10%)
  • 申告に必要なのは取引残高報告書。各証券会社のマイページからダウンロード可能
  • e-Taxを使えば10分以内で申告完了

貸株は設定するだけで自動的に金利が入るとても便利なサービスですが、税金の扱いだけは「自動」ではありません。毎年2〜3月の申告期間に忘れず対応しましょう。慣れてしまえば手間はほとんどかかりません。

※本記事の内容は2026年2月時点の税制に基づく一般的な情報です。個別の税務判断は状況によって異なるため、詳細は管轄の税務署または税理士にご確認ください。本記事は投資・税務の助言を目的とするものではありません。

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