退職・転職で持株会を退会するとき、「株を自分の証券口座に移したい」と思う人は多いと思います。特に取引手数料や貸株をすることを考えて、私自身ネット証券にせっせと移管しています。
この記事では、持株会から証券口座への移管にかかる手数料の仕組みを整理した上で、実際にどのくらいコストがかかるのか、どうすれば安く済むのかを具体的に解説します。
📋 この記事でわかること
- 持株会からの移管が「2段階」になる理由
- 野村・大和・SMBC日興の持株会特例(出庫手数料が無料になる条件)
- 移管先としてネット証券が向いているケース・幹事証券に残すべきケース
- 幹事証券にそのまま残す場合との比較
- 特定口座・一般口座の違いと移管時の注意点
- 移管の具体的な手順(5ステップ)
⚠️ 本記事は2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。各証券会社の手数料は変更になることがあります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
持株会からの移管は「2段階」になるケースが多い
まず知っておきたいのが、持株会の移管は「1回で希望の証券会社に直接移せる」わけではないということです。
持株会は通常、野村証券・大和証券・SMBC日興証券などの総合証券(幹事証券会社)に委託して運営されています。退会時に個人口座へ株式を移す場合、まず幹事証券会社の個人口座に振り替えるのが原則です。
その後、「幹事証券の手数料が高い」「使い慣れたネット証券にまとめたい」という場合は、幹事証券からネット証券へ改めて移管手続きをする、という2段階の流れになります。
📦 移管の2パターン
パターンA:幹事証券にそのまま残す
持株会 → 幹事証券(個人口座)
手続きは1回で完了。手数料は無料のことが多い。売買手数料が高めになる場合あり。
パターンB:ネット証券に移管する
持株会 → 幹事証券(個人口座)→ ネット証券
手続きは2回。野村・大和・SMBC日興は持株会からの引出株に限り出庫手数料が無料。SBI・楽天への移管ならコストゼロで完了できる。
💡 ネット証券に「直接」移管はできる?
持株会から他の証券会社へ直接振替すること自体はできますが、特定口座への移管を希望する場合は「一旦幹事証券の特定口座に振替えてから、他社の特定口座へ移管する」という手順が必要です(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村証券いずれもFAQでこの流れを案内しています)。一般口座でよければ直接移管も可能な場合がありますが、特定口座の方が確定申告が楽になるため、ほとんどの場合は2段階の方が現実的です。
移管手数料の相場:証券会社別まとめ
移管にかかる費用は「出庫手数料(移管元の証券会社が設定)」と「入庫手数料(移管先の証券会社が設定)」の2つに分かれます。入庫手数料はほぼすべての証券会社で無料なので、実質的に気にするのは出庫手数料だけです。
| 証券会社(移管元) | 通常の出庫手数料(税込) | 持株会からの引出株の扱い |
|---|---|---|
| 野村証券 | 1単元:1,100円 1〜11単元未満:1,100円+550円×単元数 11単元以上:一律6,600円 | 無料(持株会から振替えた銘柄の他社移管は手数料不要) ※詳細は持株会事務局または野村証券に確認を |
| 大和証券 | 1単元:1,100円 1〜11単元未満:1,100円+550円×単元数 11単元以上:一律6,600円 | 無料(持株会から大和の個人口座に振替えた株式を他社に移管する場合は預替手続料不要) |
| SMBC日興証券 | 特定口座:1銘柄1,000円 一般口座:無料 | 無料(持株会から引出した株式を他社へ移管する場合は手数料不要) |
| SBI証券 | 無料 | 通常から無料。入庫も無料 |
| 楽天証券 | 無料 | 通常から無料。入庫も無料 |
| マネックス証券 | 他社への出庫:1銘柄3,300円 | 入庫(他社→マネックス)は無料 |
| 松井証券 | 他社への出庫:1銘柄3,300円 | 入庫(他社→松井)は無料 |
ここで重要なのが、野村証券・大和証券・SMBC日興証券の3社は、持株会から引出した銘柄に限り、他社への移管手数料が無料になる特例があります。通常の証券口座間の移管では最大6,600円かかるところ、持株会経由で振替えた株式であれば手数料ゼロで移管できます。これはあまり知られていませんが、退職・転職時の移管コストを考える上でかなり重要なポイントです。ただし特例の詳細は持株会の案内書類や幹事証券の窓口で必ず確認してください。
幹事証券に残す vs ネット証券に移す:どちらが得か
移管コストだけを見るとネット証券への移管が有利ですが、長い目で見ると売買手数料も考慮する必要があります。
| 比較項目 | 幹事証券(野村・大和など)に残す | ネット証券(SBI・楽天など)に移す |
|---|---|---|
| 移管手数料 | 無料(持株会→個人口座の振替) | 出庫手数料がかかる(キャッシュバックで実質ゼロ可) |
| 売買手数料 | 高め(約定代金の0.5〜1%程度) | 無料〜格安(SBI・楽天は無料) |
| 手続きの手間 | 少ない(1段階) | 多い(2段階) |
| 売却する予定がある場合 | 売買手数料が高くなりやすい | 手数料ゼロで売却できる |
| 長期保有する場合 | 売買しないなら手数料差は気にならない | 配当受取方法の設定が必要 |
💡 「近いうちに売却する予定がある」ならネット証券に移すことがおすすめです。野村・大和で100万円分の株を売った場合の手数料は5,000〜10,000円程度かかることがありますが、SBI証券・楽天証券なら無料です。長期保有で売却予定がしばらくないなら、幹事証券に残しておいて手続きの手間を省く選択もあります。
移管前に確認しておきたい注意点
ネット証券の口座への移管は2段階
📌 持株会からは持株会幹事証券会社にしか移管できません。一旦、幹事証券の特定口座に振替えてから、ネット証券の特定口座に移管する順番が必要です。
単元未満株は移管できないことが多い
持株会では1株未満(端株)単位で積み立てが行われていることが多く、単元(100株)に満たない株を持っている場合があります。単元未満株は証券会社間での移管ができないケースが多く、現金で精算するか、追加購入して単元株にまとめる必要があります。退会前に持株会の事務局に確認しておきましょう。
移管中は株式を売買できない期間がある
移管手続き中は、対象銘柄の売買ができません。手続きには通常1〜2週間程度かかります。「株価が動いたタイミングで売りたい」という場合には、移管完了前に手続きを進めないよう注意してください。
取得価格(平均取得単価)は引き継がれる
✅ 特定口座間での移管であれば、取得価格(取得単価)は移管先でそのまま引き継がれます。売却時の利益計算は「移管前の取得価格」をベースに行われるため、長年の積立で取得単価が低い場合は、移管後の売却益の計算が有利になることがあります。
手続きの流れ:5ステップ
移管先の証券口座を開設する
まだ口座がない場合は先に開設しておきます。特定口座(源泉徴収あり)を選ぶのが確定申告の手間が少なくておすすめです。
持株会を退会し、幹事証券の個人口座に振替える
持株会の事務局に退会届を提出します。退会後、幹事証券の個人口座(特定口座)への振替が行われます。スケジュールは会社・持株会によって異なるため、担当部署に確認しておきましょう。
幹事証券から移管書類を取り寄せる
幹事証券に「他社への移管出庫」を申し込み、「株式移管依頼書」を取り寄せます。電話・窓口・WEBのいずれかで受け付けています。書類には移管先証券会社の口座情報(加入者口座コード・機構加入者コードなど)の記入が必要です。
書類を提出して移管手続きを進める
書類を幹事証券に提出すると移管手続きが進みます。野村・大和・SMBC日興の持株会特例が適用される場合は出庫手数料はかかりません。特例対象外の場合は手数料分の資金を口座に用意しておきましょう。
移管完了を確認して運用を再開する
移管先の証券口座に株式が届いているか確認します。手続き完了まで通常1〜2週間かかります。入庫が確認できたら売却・継続保有・NISA口座への活用など、次の運用方針を決めましょう。
まとめ
📌 この記事のまとめ
- 持株会からネット証券への移管は2段階(持株会→幹事証券→ネット証券)が基本
- 特定口座で受け取るには2段階が必要。一般口座は確定申告が煩雑になるため非推奨
- 野村・大和・SMBC日興は持株会からの引出株に限り出庫手数料が無料。SBI・楽天はもともと無料
- 売却予定があるならネット証券への移管がコスト面で有利。長期保有なら幹事証券に残す選択もあり
- 移管中は売買不可。手続き完了まで通常1〜2週間かかる
- 単元未満株は移管不可のケースあり。退会前に持株会事務局に確認を
退職・転職のタイミングは何かと忙しく、持株会の手続きは後回しになりがちです。ただ移管中は売買できない期間が生じるため、動き出すタイミングだけ早めに決めておくとスムーズに進みます。
※本記事は2026年5月時点の情報をもとに執筆しています。各証券会社の手数料・特例の条件は変更になることがあります。最新情報は各社公式サイトまたは幹事証券の窓口でご確認ください。
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