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生保業界と損保業界の違い

生保と損保をまとめて保険業界と認識されることも多いですが、似ているようで区別されている業界です。

生命保険が「人」に対する補償を提供するのに対して損害保険は「物」に対する突発的な事故などへの保障を中心に取り扱います。
そのため、生命保険が死亡保障を中心とした数十年単位の長期契約が多いのに対して、損害保険は1年〜数年の保険期間のものが中心です。

保険の世界では生命保険を第1分野、損害保険を第2分野と呼んでいます。
生保会社は第1分野の生命保険、損害保険は第2分野の損害保険を基本的に扱いますが、最近では損保会社も生保会社も扱える医療保険などの第3分が出てきたとや、企業グループで損保、生保両方を傘下にもつなど、だんだんと生保と損保の境界が緩くなってきているのも事実です。

損害保険業界

損保業界での売上にあたる元受正味保険料は2018年度には9兆4149億円にのぼりました。
正味保険料を見てみると順調に市場は拡大していっています。

元受正味保険料
日本損害保険業協会HP ファクトブック2019

日本国内の損害保険業界の特徴は「東京海上グループ」「MS&ADグループ」「SONPOグループ」の大手3社で収入保険料の約9割を占めている寡占市場です。
ちなみに損害保険会社を営む免許を持っている会社は国内で32社、外国損害保険会社で20社あります。

商品種類

損害保険は商品に対してかけることができるため、多様な商品があります。
最初は貿易を支える海運業の保険。海上保険が最初に生まれましたが、次第に家の火災などに備える火災保険が発達。そして自動車の普及とともに現在は自動車保険が主力商品となっています。

日本損害保険業協会HP ファクトブック2019

法律で義務化されている自賠責保険と、任意で車等の賠償に備える任意自動車保険を合わせると保険料収入の約6割が自動車に関する保険です。
家などの保険である火災保険が約14%、怪我に備える傷害保険が約8%であることと比べると自動車保険が現在の稼ぎ頭であることがはっきりとわかります。

安定して成長している損害保険業界ですが、この先、自動運転が普及した際に保険の役割が縮小することが考えられ、心配されています。
しかし、インターネットのセキュリティに備えたサイバー保険など、新たな保険商品も開発され、新たな主力商品候補も新種保険として出てきています。

販路

大半の商品が損害保険代理店を通じて販売されています。
最近ではインターネットを通じたダイレクト型も増えてきていますが、いまだに保険料ベースで9割が代理店を通じて販売されています。

販売代理店は18万店ほどあり、そのうち専業の代理店は3万店強しかありません。大半を占める残りの15万店の代理店は副業代理店で、自動車ディーラーや自動車整備工場、不動産業、旅行代理店、銀行や生保などの金融業など様々な業種が営んでいます。

損害保険業界の販売代理店の業種ごとの内訳
日本損害保険業協会HP ファクトブック2019

損害保険は保険をかける対象が他社の商品になることから、その商品の販売時にセットで売ってもらえる代理店が重要になっています。
一方で、最近では低価格を武器にインターネットを通じた直販。ダイレクト型の損害保険も増えてきています。

損害保険業界の業界地図

損害保険業界の業界地図
損保業界地図

大手三社の東京海上HD、MS&AD、SONPOホールディングスは網羅的にこの損害保険業界に君臨しています。商品としては自動車保険、火災保険、傷害保険等の分野を網羅的に行なっており、各社ダイレクト型の自動車保険も合弁会社として持っています。
外資系の保険会社はダイレクト型を中心に一定の存在感があります。

最近ではペット保険を扱うアイペット損害保険などの新しい分野の会社も出現してきています。

おわりに

今回は日本国内の損害保険市場についてまとめましたが、世界とつながる海運業の保険を起源とする大手の損保会社は早くからグローバル化を進めてきました。
安定している国内市場だけではなく、海外市場での成功も求められてきています。

さらに、各社は生命保険分野への進出やSONPOグループの介護業界への進出など、業界自体の幅も広げて三大損保は成長しています。

参考資料

損害保険協会 ファクトブック

MS&AD 保険業界の基礎知識

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