某業界地図が好きでたまに読むんですが、そこではFintechの一分野のようなニッチな業界はなく主要業界が中心ですが。そこで、今回はソーシャルレンディング業界の業界マップを作ってみました。
資本関係があまりこじれてないので、結構単純な図ですが、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。
ソーシャルレンディング業界マップ
累計成立額などの情報は2018年末ごろにホームページなどで閲覧した情報です。
2019年4月時点の金融商品取引業の免許の取消の情報を追加しました。
主要な会社は網羅しているつもりです。
何か訂正する部分などがあれば気軽にコメントしてください
ソーシャルレンディング業界のポイント
不祥事多め
2018年のソーシャルレンディング業界は金融庁から行政処分をくだされる事業者が複数出てしまいました。
まず2018年3月に高利回りの不動産への融資で人気の高かったラッキーバンクが業務系全命令が出されました。そして一番の衝撃は7月にmaneoファミリーの一員であるグリーンインフラレンディングにおいて説明とは違う貸付先に貸していたことが発覚しました。
その結果、業界に初期の頃から参入しておりマーケットリーダーとして信頼されていたmaneoに対して、業務改善命令が出されたことはかなり衝撃でした。さらにその後、他のmaneoファミリーやmaneo本体でも遅延、デフォルトしてしまうファンドが多く出てしまいました。
また、12月14日にトラストレンディングでも同様に業務改善命令が出たこともあり、不祥事の多い一年で締めくくられました。
特に不祥事が悪質だった会社については金融庁から免許の取消がおこなれ、既存のファンドの敗残処理以外できない実質的な廃業に陥っているところもあります。
より高い透明性と、担保の評価の正確性などでデフォルトを回避するとともに、何かあった時のリカバリーや被害の低減が求められています。
匿名化解除
上記のような不祥事が起こってしまった背景には匿名化の影響があります。
匿名化とは、匿名組合契約を通じて融資を行う際に、融資先が特定できるような情報を投資家に出してしまうと貸金業に抵触してしまうため、資金を集める際には投資家に対して融資先の情報の大部分をふせることです。
この結果、どのような融資先かどうかをしっかりと判断せずに投資してしまう状況が発生しており、不祥事の原因のひとつになっているのかと言われています。
しかし、金融庁でもこの匿名化の問題が注目を浴びて、匿名化を解除してもっと融資先の情報を公表してよいようになる方向に変わるんじゃないかと期待されています。
市場環境
矢野経済研究所によると2017年のクラウドファンディング市場は約1700億円あり、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)はそのうちの約9割を占めていています。
ここまで急拡大してきた要因として、高利回りにもかかわらず低いデフォルト率を誇っていたことが大きいでしょう。
しかし、今回のような高利回りファンドを扱う会社を中心に起きた不祥事は勢いに対してかなりの逆風になりそうです。
しかし、匿名化解除などにより透明性を高めることができれば、また勢いをある程度取り戻せるのではないでしょうか。
ソーシャルレンディングの仕組み自体は問題なく、ミドルリスクミドルリターンの運用手段として長期的には一定の地位を確立することが期待されます。
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