社会インパクト投資は寄付より優れてるのか

金融
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社会インパクト投資とは

最近は社会インパクト投資(またはソーシャルインパクト投資)が盛んに叫ばれています。国連が発表した持続可能な開発目標であるSDGsや環境、社会、ガバナンスに気をつけている企業にへの投資を促すESG投資など様々な手法があるようです。

ちなみにJapan Inpact Investment Taskforceの定義は以下のようになっています。

定義

「インパクト投資」は教育や福祉などの社会的な課題の解決を図ると共に、経済的な利益を追求する投資行動です。

様々な団体が定義をしているので、厳密な定義があるものではありませんが、大筋では「寄付ではなく投資によって社会課題の解決につなげる」と言われています。

最近では国連が発表した持続的開発の目標である「SDGs」を社会課題の解決における軸としたものが多く見られます。

具体的な社会インパクト投資の例

社会インパクト投資はその社会貢献のレベルやリターンとのバランスも様々でイメージしにくいですが、いくつか例をみてみましょう。

ソーシャルボンド

社会インパクト投資のもっとも典型的なものがソーシャルボンド(社会貢献債)でしょう。

集められた資金は様々な社会問題の解決のために融資されます。

たとえば、貧困者層や農業従事者を相手に金融サービスを提供するマイクロファインナス機関への融資や、太陽光ファンドへの貸付、インフラ開発、奨学金の原資など、債券のテーマごとに幅広い用途があります。

発行元は世界銀行や国際金融公社、アフリカ開発銀行、JICAなどの国際協力機関や政府系機関が発行するものが多く信頼性が高く貸し倒れもあまり起きていないため、保険会社などの機関投資家も多く投資しています。

グリーンインボンドとの違いは?
少し前にはやったグリーンボンドもソーシャルボンドの一種です。ただし、グリーンボンドが環境問題のみを対象にしているのに対してソーシャルボンドはよりより多くの社会問題それぞれに合わせて発行されています。

参考:IFCのソーシャルボンドについてのページ

 

プロジェクトファイナンス

プロジェクトファイナンスとはプロジェクトに対する投資を意味するので全ての案件が社会インパクト投資ではないですが、多くが上下水道や電力施設などのインフラの開発であったりするなど、人々の生活、社会を支えるようなインパクトの大きいものが目立ちます。

水道や道路を整えることや発電設備を作ることによって今まで十分なインフラの恩恵を得られなかった人にも生活環境の礎となるおもになるでしょう。

ちなみにソーシャルボンドとの違いは

・より直接投資できる

・よりハイリスクハイリターンの投資ができる

の2点でしょう。

ソーシャルボンドは国際機関などが安全性を担保した上で資金を集めているので、社会へのインパクトを測ったり投資先を決めたりするのは全て発行元の機関に任せています。そして債券なのでデフォルトをしたとしても一部の資金は帰ってくる可能性が高いです。

それに比べてプロジェクトファイナンスはより直接どのプロジェクトが優れているかを見極め、さらにプロジェクトの資本自体に投資できるのでよりリスクは高まりますが、その分利益が出た時にはよりリターンを享受できます。

社会インパクト投資の境目

投資や金融は本質的にはお金を必要としている人にお金を供給することで、事業者などがそれを元手に社会に価値を還元し、その一部を配当などとしてもらうものだと思います。

そうすると犯罪ではない限り、投資が成功した時には投資先の事業を通じて社会に一定の価値、社会インパクトを与えているように思えます。

社会インパクト投資自体の定義が曖昧なのでこれは確実に正解でこの投資は間違っているということはありません。社会インパクト投資かどうかは、その解決した課題が既存の資本主義に従った投資では解決が難しかったり現在問題になって話題の分野であり、多くの人が社会貢献だと意識できるものであることが重要です。

資金の使い道として多くの人が社会貢献の要素が強いと納得すれば社会インパクト投資になります。

社会インパクト投資 VS 寄付

社会インパクト投資でよく比較されるのが寄付です。投資なんてケチケチ言わずに寄付しちゃえばいいのにという声もたまに聞こえます。

もちろん寄付も大事な社会貢献の形ですが、投資であるからこそのメリットもあります。

投資を受けるということは何かしらの形で返済したり配当を出したりしなければなりません。そのために投資する側もより対象を選別し、投資を受ける側も一程度の緊張感を持つようになります。

それによってより無駄の少ない資金の使われ方をしやすいです。

また、寄付には慣れてしまうというデメリットがあります。

一度働かなくても食べ物や生活に必要なものを得られるようになると、なかなか自ら頑張って働いて現状を脱しようと思わなくなります。

投資ならば返済をするために資金を事業や教育など、リターンを得られるものにつかい、自立して事業をおこうようになり、結果この資本主義の社会のなかで生き残れるようになります。

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